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何度目だろうか、飽きるほどに録画番組を見て流石に疲れて寝てしまっていた頃、渚の傍に置いてあった携帯電話が着信を告げた。
「ん…」
しつこいコール音に起こされた渚は意識が朦朧とする中携帯を手にとり、電話に出た。
ピ、というキーの音のあとに続けていつものように「もしもし」と言おうとしたのだが、今日に限ってそれは出来ない結果となった。
「も…」
そういいかけたところで相手が口を開いたのだ。
「ちょっと渚!!!!何休んでんのよ!!!」
「!?」
うつらうつらとしていて誰からの着信からか確認していなかった事と、相手の大きな声が渚を完全に目覚めさせた。
「えっえっ…その声は…美沙?」
「『その声は…美沙?』じゃないわよ!!!当たり前でしょうが!?」
この怒っている声の主は渚の親友、佐伯 美沙(さえき みさ)。普段から心配性で、渚が学校を休んだりすると誰よりも早くメールや電話をしてくる。渚にとってはありがたいような迷惑なような、そんな存在だ。
「いやあ寝てて…」
「っていうか、今日せっかくいいものもってきたのに…明日も持ってくるから絶対きてよね」
「いいもの?」
「そう!きっと渚、喜ぶよ」
ふと部屋にかけてあったカレンダーに目を移したが、特に誕生日だとかそういうわけではなさそうだったので疑問に思った。
「ふーん…気が向いたらね、行くよ」
「駄目だってば!!絶対来」
そう言われたところで、面倒になった渚は一方的に通話を強制終了させた。
「いいもの、かあ」
ふう、と一息ついたところで玄関のドアが開かれる音がしたので渚は急いで自室へと帰った。
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