偶像

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バスの混雑を今日も掻い潜って、ようやく学校に辿り着いた。 正門は紺のブレザーに身を包んだ女子生徒と男子生徒がぞろぞろと生徒玄関へ向かっている。 中には制服指導の先生に注意を受けている生徒も居た。 靴を自分のロッカーから取り出し、足元を整えていると 「あ!!来た!!」 という女子生徒の声がした。 反射的にその声のほうをうかがうと、なんとなくそんな気はしていたが美沙がこちらに向かって来ていた。 「あ、おはよう」 「おはよ!あーよかった来てくれて!!もう!!待ってたんだからね!」 嬉しそうな顔と声色で一方的に話しかけて来る美沙に少しうんざりしていた渚は、「ああ、うん」「はいはいそうだね」などの生返事をした。 「靴履いた?早く行こうよ!」 「え、うん…」 腕を引っ張られて【1-3】と表示のある教室内へと入っていくと、いつものクラスメイトのがやがやとした会話声が飛び交っていた。 「はあ、はあ、もう、いきなり何…」 息を整えながら美沙に問うと、美沙は「その質問待ってました」というように机の中を漁り、一枚の紙を突き出してきた。 「これ!!!早く見て!!」 「何をそんな…」 そういいつつも紙を手に取り、目を落としてみた。 その瞬間、渚の目は見開かれた。
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