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雨の雫が、その花びらにかかりキラキラと表面が光っている。
それに、なんとも儚い。
今までに見たことのない、儚さだ。
私が普段気付いていないときにこんな美しくて綺麗なものが存在していただなんて……。
その花を見つめている間に、自然と涙は去っていた。
今の私に残っている気持ちは、なんとも複雑で表現し難い。
だけど、彼が私に別れをつげた意味が何となく分かった気がした。
そうか…彼は…
キュッ、と拳を握る。
私はその花を撫でてからゆっくりと立ち上がった。
こんなところで、道草をくっていたら仕事に遅れてしまう。
今度はしっかり、前を見据えて私は一歩を踏み出し始めた。
一歩…また、一歩と。
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