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やまめは言いました。やい、にじます君、もっと上まで行かないとダメだぞ。
にじますは言いました。そんなに上まで行っても何もないよ。
その二人の横でうぐいは言いました。上は人間がたくさんいるから危ないよ。
やまめとにじますはうぐいの話を聞いて、
にんげん、て何? という顔をしました。
人間、ていうのは……。やまめとにじますはうぐいの話を聞いて、
びっくりした! たまに見る大きな動物はそのにんげん、というやつなのか。
びっくりした! 一緒に泳いでいた仲間が急にいなくなったのはそのにんげんが連れて行ったからなのか。
やまめとにじますはうぐいの話を聞いて上に行くことが嫌になりました。
じゃあ、この前上に行った仲間はもうにんげんに連れていかれたのかな。
そうだ。そうに違いない。あれからずいぶん経ったけど戻って来る様子はないぜ。
うぐいは言いました。
いや、きっと無事なやつもいるさ。みんながみんな連れていかれるわけじゃないんだ。
どうして?
どうして?
人間は僕らを連れて行くやつと連れて行かないやつがいるんだ。だから運のいいやつはちゃんと上まで行って子孫を残せるんだよ。
そうか。じゃあ俺は行く! とやまめ。
そうか。じゃあ俺も行く! とにじます。
いってらっしゃい。とうぐい。
二人は力強く泳ぎ、昼夜問わず上へと向かった。しばらく経つと、二人はごつごつした岩や、急な流れの中を進んでいることに気づいた。
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