3人が本棚に入れています
本棚に追加
前が見えないよ!とやまめ。
ああ!僕もだ!とにじます。
にじますが目の前に立ちはだかる岩と激流に目を凝らしていると、
虫が流れて来た!と横でやまめが叫んだ。その声を聞いた時にはもうやまめは激流の泡の中へと消えていた。
しばらく待っても帰ってくることはなかった。
にじますはやまめは先に行ったのだろう、と思い、激流を避けて別の道から上へと向かった。
しばらくしてこれ以上は川が浅くて無理だ、というところに着いた。
そこには小さなやまめがたくさんいた。
やまめ君がなんでこんなにいるんだろう……。
にじます君だね。
君は小さな……やまめ君なのかい?
そうだよ。僕はやまめだよ。
にじますは混乱した。先に上に行っていたやまめが小さくなっているなんて。
なんで小さくなったの?
僕はやまめの子だよ。お父さんからにじます君の話は聞いてる。
そうなんだ。じゃあ、お父さんのやまめはどこに行ったんだい?
さあね。人間がどこかに連れて行ったんじゃないかな。
ここにも人間が出るのかい?
うん。出るよ。この前お父さんは人間に連れて行かれたんだ。それっきり帰って来なくなった。
そうなんだ……。
最初のコメントを投稿しよう!