やまめとにじますとうぐい

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前が見えないよ!とやまめ。 ああ!僕もだ!とにじます。 にじますが目の前に立ちはだかる岩と激流に目を凝らしていると、 虫が流れて来た!と横でやまめが叫んだ。その声を聞いた時にはもうやまめは激流の泡の中へと消えていた。 しばらく待っても帰ってくることはなかった。 にじますはやまめは先に行ったのだろう、と思い、激流を避けて別の道から上へと向かった。 しばらくしてこれ以上は川が浅くて無理だ、というところに着いた。 そこには小さなやまめがたくさんいた。 やまめ君がなんでこんなにいるんだろう……。 にじます君だね。 君は小さな……やまめ君なのかい? そうだよ。僕はやまめだよ。 にじますは混乱した。先に上に行っていたやまめが小さくなっているなんて。 なんで小さくなったの? 僕はやまめの子だよ。お父さんからにじます君の話は聞いてる。 そうなんだ。じゃあ、お父さんのやまめはどこに行ったんだい? さあね。人間がどこかに連れて行ったんじゃないかな。 ここにも人間が出るのかい? うん。出るよ。この前お父さんは人間に連れて行かれたんだ。それっきり帰って来なくなった。 そうなんだ……。
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