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「春菜?」
起きたのは夏子の声でだった。
「朝だよ春菜」
秋子の声。どうやら一番最後に起きたようだ。
「……そっか。私一番最後に寝たから」
一番最後に眠った理由を思い出し、二人からきっと「夢でしょ?」と言われるのがオチだろうと思い、春菜は昨夜の出来事を言うのをやめた。三人は初詣に行き、おみくじを引いた。出店でお昼ご飯を食べ、それぞれ自分の家へと別れた。夕食のとき春菜は母と父に今日の夢の話をした。
すると母と父は急に泣き始めた。
理由を聞くと、
「ごめんな春菜隠してて」
「実はね……」
雪乃という名前の姉が私にはいたという。でもその子は生まれてまもなく亡くなってしまった。その三日後に私は生まれたそうだ。たった三日しか違わない姉の雪乃はきっと双子同然の容姿であっただろう。
春菜は昨夜のことをはっきりと思い出した。
雪女の顔はどことなく自分に似ていた。そしてよく笑っていた。
それが姉のやさしい笑顔だったのだと春菜は気づき、
「……雪乃、いい名前だね」
春菜は雪女と名乗って現れた雪乃のことを自慢の姉だと思った。
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