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真夜中の歩道、蛾等が集まる途切れながらも光る電灯に、自身の顔が照らし出される。人通りも少なく時間も遅い真夜中は、限りなく無音に近い状態を演出していた。
俺は、無音を必要としていた。何の音にせよ、今の俺にとっては邪魔であり、遠ざけたい存在である。
頭痛が、酷い。
むしろこんなに頭痛が酷くなるものかと疑いたくなる程度ではあった。他の物に集中し、今すぐにでも解放されたい。何故俺はこんなに悩んでいる? ああ、頭痛だ。頭痛が一番俺を悩ませている。他の物になど集中出来なかったのだ。
何回それを繰り返しただろうか。忘れかけては思い出し、また忘れようとはするが、思い出す。
痛みというのは本当に忘れ難く、引き離したい。頭が割れそうだ。
おぼつかない足取りで歩いていた。目指す先など無かった。行く宛も無い、帰る前にこの痛みをどうにかして、万全にして帰り明日を迎えたい。
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