鬼力症候群

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東西を黙って見ていると、痛い視線が突き刺さる。 視線が痛い。 「情報が必要」 「お前は――見たか?岩泉」 岩泉參芽。 「あれから精度を上げた――今から見る」 そう言うと目を閉じ、何かに集中する様に無言で、立ち尽くした。 「岩泉―――」 前回と同様、少々時間が掛かるようだ。ど、どうしようこの状況。 「先生、先生っ」 か細い声で話し掛けて来たのは、錠前だ。 「どうした、錠前」 「簡単だよ、先生?岩泉さんなんかに頼らなくても、解決なんか、簡単に出来る事なんだからね――私の解錠を使って、相手を炙り出せば良いんだよ」 解錠症候群で、相手を炙り出す? 「どういうことだ――」 俺は聞き直そうとするが、しかし錠前の返事を聞く前に、理解した。というより、思い出したのである。解錠症候群と施錠症候群を使用出来るという事は、世界を好きに豹変出来るという事を。
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