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「はぁ…はぁ、これだけあれば、うーん…1週間はもう採りに行かなくても大丈夫かなー?」
籠一杯に山菜を詰め込んで、少しでも山菜採りに行く回数を減らそうと頑張った。
「どうせまた僕が行かされるんだからさ!…ふう、ちょっと疲れちゃったな、ちょっと休憩していこっと。」
まだ暗くなるまで時間もあるし、それに少し遅れて帰ったらお母さんも心配して今度から姉ちゃんに行かせるかもしれないしね、へへ。
これがいけなかった。
これがすべてを。
これが。これがーー。
そよぐ風、せせらぐ川の音、揺れる木々。
心地よい自然の音色にすやすやと眠りを深くさせるレン。
しかし、目覚めは突然訪れた。
轟々と辺りにけたたましい音を撒き散らしながら飛行する巨大な物体。
それはミント村の頂上付近に停止し、小型飛行機を吐き出した。
「お母さん!なんか空に飛んでるよ!」
リンはけたたましい音が気になり窓から覗くように空を眺め、巨大な物体に驚き、母親を呼んだ。
「リン、そんな品の無い大きな声出さないの。レンにもあなた冷たすぎるわ、もう少し優しくしてあげて。」
シーナは娘の叫びを軽く無視して淡々と叱責を始めた。
「もう!分かったから、アレ見てよ、アレ!」
「こら、リン。全然分かってないじゃないの。あら、あれは…」
またもや娘に叱責しつつ言われるがまま空を見ると、見る見るうちに顔色が悪くなっていった。
それは巨大な空中戦艦。
こんな辺境に不釣り合いな代物。悪い予感がしてならなかった。
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