~第一章~

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「シキ隊長!村長を連れて来ました。」 老人らしき人を連れ、鼻息荒くセミロフは敬礼をしている。 「ん、ご苦労だったなセミロフ。」 「はっ!」 誇らしく返事をし、横目でセイスを見る。 どうやらセイスにライバル意識があるようだ。 「なんじゃあんたらは?なんの用があってこのミントに来られた?世間話ではなかろう?」 村長は怯えながらも村長としての威厳を示そうと震えを抑え訊く。 「そうだな、世間話をするために来たわけではない。単刀直入に言おう、この村に居る子供全員をここに集めてもらおうか。」 「なんと!?なんのためにじゃ?」 「そんなこと貴様らに答える必要などないわ!」 怒号を上げるセミロフ。 シキに労いの言葉を貰い、気が強くなっているようだ。 「セミロフ、そう脅かすんじゃない。  村長…何も訊かず言う通りにしてくれ。村民すべて『ああ』なりたくはないだろう?」 優しくそうセミロフを諭すと、その口調のままに村長に向き直り、従うように促す。 その際に、軽く顎である家を指すと村長は流れのままにそれを見た。そして驚愕する。 「な、なんてことを…!!」 村長の目にしたものは、村民が無残にも惨殺されているものだった。 中から刃を喉元に突き立てられ、子供だけは助けてくれと懇願している母親の悲痛な叫びすら聞こえる。 「もうやめてくだされ!」 シキはニヤリ、と微笑んだ。 「おい、その辺でやめておけ。さて、村長、下手な小細工はするなよ?被害が大きくなるだけだ。」 村長の必死の訴えを聞き入れ、部下を下がらせる。そして念入りに釘を刺した。 「分かり申した…」 村長は従うしか選択肢を持たせて貰えない不甲斐無さを噛み締めながら、頷き、子供を集めるために重い腰を上げた。 子供に何をされるかわからない。 しかし、従わなければ殺される。 ミント村始まって以来の大惨事に村長は冷静な判断を下せずに言われるがままに従った。
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