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ミント村の中でも、少し外れに位置するクラヴィス家。
現在、中央広場で…いいや、ミント村で起きている悲劇に気付かずにいた。
しかし、空中に浮かぶ物体を見てからの母親の動揺ぶりに幼い娘は不安が押し寄せる。
いつも、のほほんとしている母親。
そんな母が見たこともないほど動揺している。
なにがあるのだと、母に問い掛けた。
「お母さん、どうしたの?あれがなに?」
「ああ、リン!ここに居てはダメよ、早くどこかに…レン?レンはどこ!?」
リンの声が耳に届いていないシーナは何かに追われているかのように怯えている。
「お母さん落ち着いて、レンは山に山菜採りに行かせたでしょ?」
「…ああ、なんてことでしょう!こんな時に…」
顔を青ざめさせながら、必死に考え事をしている。
先ほどまで暖かい家庭の空気が流れていたクラヴィス家。
この短時間でピリピリと切迫した空気が家中を支配していた。
「いったいどうしたっていうのよ?」
腰に手を当て、ムスッとした態度を表す。
「リン、そんなもの知らなくていいのよ、早く隠れないと…いいえ、あなたは山に行ってレンと一緒に隣町に行きなさい。」
「えー?なんでよー?」
自分の質問に一切答えない母に理由も分からず隣町まで行け、と言われてもっと『むっ』となったリンは軽い気持ちで反抗してみた。
「いいから言うとおりにしなさい!」
「ひ…」
すると今まで聞いたことのない大声で怒鳴られた。
母のこんな真剣で必死で…悲しそうな顔など見たこともなかった。
「分かったの!?」
「うん…」
これは遊びや冗談ではない。
母から発せられる切迫した雰囲気から幼いながらもそう判断した。
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