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「それに…まだ温かい、か。今なにをしていた?子供を逃がしたか?なぜ逃がした?俺たちの目的を知っているのか?なぜ知っている?…そうか、お前の子供がターゲットか。」
「な…」
次々と的を射た尋問のような独り言に底知れぬ恐ろしさを感じた。
だが、もう興味を無くしたようにこの男はシーナを見ていない。
「そこから逃がしたか。」
裏口を見つけるとすぐさま口を開く。
ついには裏口から逃がしたことまで推測する。
シーナはこの男が恐くて堪らなかった。
「ちょっとやめて!」
裏口のドアノブを掴み、開けようとした間際シーナが叫びながら止めに入る。
しかし、いや、やはり、軽く払いのけられ突き飛ばされてしまった。
「くぅ…!」
倒れこむシーナを尻目にドアを開ける。
そして、家の裏から伸びる坂道の頂上付近に小さな人影を見つけた。
「ふん…やっぱり子供だな。名残惜しそうにこっちを見ているぞ?」
こちらをジッと見つめるリン。
やはりまだ幼い子供。それは仕方のないことだった。
「リン!?逃げなさい!早く!早く…!!」
男の言葉を聞き、痛む身体を無視して起き上がりリンを遠ざけようと必死に声を張り上げる。
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