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鮮やかな青い空。
澄み渡る空気。
綺麗な花が所狭しと咲き誇る花畑。
近くには川も流れて、鳥のさえずりも聞こえる。
人は言うのかな――――これを、平和と。
そこには誰かと遊んでいるように、楽しそうに満面の笑顔な俺がいて。
………アホっぽい顔。
…自分の顔ながら少し悲しくなったのは言うまでもない。
「――――っ!―――い!――兄貴!あぁにぃいき!!!!」
「おっ!!!!?」
ズガガガ
額を見事に床にぶつけずり落ちる。
「兄貴爆睡しすぎ!なんか間抜けな顔して笑ってたし。何か良い夢でも見たんか」
えっ、まじで。俺あんなアホ面してたの。
「そ、それにしても、弟よ………もう少しお兄様を労らないか?」
床に顔面ぶつけたまま泣けば、
「え」
こっからじゃ見えんが、すっっっごい嫌そうな声聞こえたぞ、おい。
「うぉお、やべ、この体勢きっつっ、腹筋が、俺の腹筋が、うぉおう、ちょ、ま、下僕よ、ほら良いから今すぐお兄様を起こせ」
「…いいんじゃねぇ?腹筋6つに割れるかもしんねぇじゃん?」
「申し訳ございました。起こして下さいまし」
「“ございました”っつったよな今。仕方ねぇな…」
あれ、“下さいまし”スルー?お前もスルースキルを向上させやがってんのか。培ってやがんのか。お兄様としては嬉しくもあり寂しくもあり複雑な心境だぞ。
「俺には隅々までツッコむ程の許容量はねぇの…よいしょ」
エスパー現る。
そういやエスパニョールって何。
こないだ二組の吉田さんが言ってた。
国語辞典引いたら出てくっかな。
いやまぁ焦るけどね。エスパニョール載ってたら焦るけどね。誰か知ってたら教えて下さい。
「エスパーじやないし。口に出てたし」
「なんと!お、俺とした事が………この……うっかりさん!」
星が飛び出すようなウインクと舌を少しだけ出して片手を頭に軽くコツンと当ててみれば、可哀想なモノを見るような目で見られた。
さらば、俺の羞恥心。
「……朝飯あっから」
弟精一杯の気づかいのスルーに、俺は
「うん…」
としか答えられなかった。
閑話休題。
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