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「わぁ、すごい! 船なのにホテルみたい!!」
美咲は船室に入るなり感嘆の声を上げた。白いワンピースをひらめかせて中央に駆けていき、小躍りしながらくるりと振り返る。
「絨毯の上でみんなと雑魚寝だって友達が言ってたけど、全然違ってびっくり」
「この船でも2等はそうかな」
大地としては、この特等船室でも不満があった。手前に小さめのテーブルと椅子、奥にベッドが二つ、あとはユニットバスがあるくらいで、さして広くもなければ、内装もごくありきたりなものである。ルームサービスすらないという。美咲はホテルのようだと言ったが、せいぜいがビジネスホテルのツインルームといったところだろう。しかし、美咲が喜んでくれたことでひとまず安堵し、部屋の隅にスポーツバッグを下ろした。
「ちょっと、お兄ちゃん! どうして寝ちゃうの?!」
さっそくベッドに潜り込もうとした大地に、美咲は思いきり抗議の声を上げた。シーツを引っ張りながら、ぷくっと膨れ面を見せる。そのあまりにも可愛らしい怒り顔に、大地は思わずくすっと笑ってしまう。
「美咲も寝ておかないと体力が持たないよ。旅はまだ始まったばかりなのに、こんなところで疲れちゃったらもったいないだろう?」
「うん……でも……」
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