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「ねえ、颯呀君?」
「ん、なに?」
「僕、明日引っ越すんだ。」
「はぁ!?なんだよそれッ!!」
「急でごめん。人には人の悩みがあるんだよ。でも、きっとまたこの街に戻ってくるよ。」
「そんなの…」
「信じられるか、って?ねえ、今まで僕が嘘ついたことある?」
「あるよな、けっこう頻繁に。」
「うぐっ…。で、でも今回は本当!!絶対帰ってくる!」
「はぁ…、わかったよ。じゃあなんで引っ越すのか教えてくれないか?」
「うん。颯呀君は僕が親がいなくて施設で暮らしてるって知ってるよね?」
「お前が話してくれたんだろ。当然知ってる。」
「先月施設に僕を養子に迎えたいって電話が来てね。そこにお世話になることにしたんだ。」
「そっか…。で、その引っ越し先って?」
「蒼斗市からけっこう遠いところらしい。紅梁市とか言ったっけ?」
「じゃあ、会えなくなるのか?」
「たぶんね。でもさっきも言ったけど、僕は絶対に帰ってくるよ。」
「信じるぞ?」
「うん、約束だよ。ほら、小指出して。」
「指切りか…。初めてだな。」
「そうだね。っあ、そだ。明日は見送りに来てよ?」
「ああ、必ず行くよ。」
「これも約束。わっ、もうこんな時間。急いで帰らなきゃ!」
「お、おい…」
「じゃあ明日ね颯呀君。絶対来てね!」
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