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「あー、痛ぇ……」
くそっ、ヒリアのやつ思いっきり殴りやがって。顔と背中の痛みが寮に帰ってきてからもまだまだひきそうにない。
って、なんで俺はあいつに殴られなきゃならんかったんだ?
あの後から一言も口聞いてくれねぇし、なぜか蕪木の機嫌も悪くなってたし。
「はぁ…、もう寝よっかな」
考えるのはやめだ。今日は尋常じゃないくらい疲れた。
電気を消し、ベッドに倒れ込んだ。疲れが瞼を重くし、意識も薄れていく。
その時、シンプルなリズム感のない音が俺の睡眠の邪魔をした。
「ったく、誰だよ。」
枕元に投げ捨てられた携帯を手探りで探して画面を見る。そこには受信メール一件と表示されていた。
着信音1のシンプルなリズム感のない音だったため、電話帳に登録されてない人だろう。
「迷惑メールか…?」
思いながら、受信メールを開く。
「フッ……」
文章を読むと自然と笑みがこぼれた。別に面白いから笑ったのではない。
きっと携帯を渡したときにアドレスをしらべたんだろう。アドレス交換もまともに出来んとは、まったくめんどくさいやつだ。
「どういたしまして。」
しかしまさかあいつから礼を言われるなんてな。やっぱり明日は雨かもしれない。
『今日はありがとう /ヒリア』
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