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闘技場に入り、集合場所に続く扉を勢いよく開け放った。
「あっ、あはは…」
もう出場者はみな整列していて、彼らの視線が俺へと集中した。加えて観覧席に座っている生徒までも。
ああ、穴があったら入りたい…
あまりの恥ずかしさで顔が熱くなっているのが触れずともわかる。小走りでD組が並んでいるところへ向かった。
整列すると賢人に肘でつつかれた。
「何してたんだよ颯呀?」
「悪い。ほんとスマン…」
「まぁ…ぎりぎりアウトってとこだな。」
うん、それを目指した。とは口が裂けても言えない。
『えー、ゴホン。それでは今回のルール説明を始めます。』
例によって今回も峰堂が司会を務める。
『今回は一対一のガチンコ団体戦です!先に三勝したクラスの勝利となります!』
へぇ。じゃあ今回はこの闘技場で行われるのか。
『では、早速A組対G組の試合の準備をお願いします。』
それを合図にA組とG組は控え室へ残りは観覧席へと移動した。
後の試合でよかった。全力疾走で疲れたし、まだ小指は痛むし。
観覧席に着くと、
「さあ、作戦会議だ。」
賢人がリーダーモードになった。いつものおちゃらけた彼ではなく、頼りになる彼にだ。いつもがこうならいいのに。
「作戦もなにも一対一だろ?」
「だから順番が重要なんだ。」
真剣そのものの賢人の表情にそれ以上言葉が出なくなった。
「ならその言い分を聞こうじゃないか、賢人君。」と言いたげな顔で賢人を見つめた。
「遅刻した身で何その偉そうな顔…」
ヒリアにもっともな言葉をぶつけられ、しゅんと小さくなる。本当にごめんなさい。
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