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今日も一日が始まる。
そう思った矢先、太陽に雲がかかったのかあたりが少し暗くなった。
いや違う。
「どいてーーー!!」
上を見上げると空を見ることなく落下してきた何かに激突した。
車にひかれたかと思うほどの衝撃が走った。頭は奇跡的に鞄がクッションとなり平気だ。
「いっつー。あっ、あんた大丈夫?」
「まったくもって重症です…。」
頭をさすりながら立ち上がった激突相手は手を差し伸べてきた。
手を取り立ち上がった俺はそいつと目を合わせる。
金髪の長髪ストレートで整った顔立ちをしている美少女。モデル並みのそのスタイルは老若男女問わず目を引かれるほどだ。
セーラー服を着ていて、俺が通っている中学のものではない。この地域で見たことない制服だ。
「なんで上か…」
「じゃあ急いでるから!!」
まさにビルの隙間に吹く風のように走り去っていった彼女。俺の質問は被せられ無視されたままだ。
呆然と立ち尽くすこと数十秒。腕時計を見ると時間が迫りに迫っていることに気がついた。
「あと三分!?やっべ遅刻する!!」
鞄を拾い上げ、体のエネルギー全てを足にまわし走った。
そのあと廊下に立たされたことは言うまでもない。
心の奥であの少女を恨んだ。よくよく考えたら謝罪の言葉無しに去っていったのだ。
礼儀がまったくなってない。ホント親の顔が見てみたいよ。
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