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月日は流れ、秋が過ぎ冬も春を追いかけるように暖かさをちらつかせている。
今日は休日。受験を終えた俺は何もすることなく家でゴロゴロしていた。
リビングで携帯をいじりながらテレビを横目で見ている。その時、俺の家のインターホンが来客を告げた。
母も父も出掛けているため応対する人間は俺しかいない。だが、どうせセールスマンの類いであろうため放っておくことにした。
鳴り止まないインターホン。連打に次ぐ連打の嵐。
いいかげんうっとおしいので適当に応対して帰ってもらおう。携帯をソファに投げ捨て玄関に向かった。
「はいはい、どちら様で?」
返事をしながらドアを開けると、そこには見たことある人物が立っていた。金髪の長髪ストレート、抜群のスタイルを持つ美少女。
例の落下女だ。
「あっ、あんたは…」
「いるんならさっさと開けなさいよ!!私を待たせるなんていい度胸ね!!」
体が痺れるほどの怒声を浴び、いきなりのことで俺は開いた口が塞がらず呆然とした。
「あっ!!んと、えと、ゴホン。今日はあなたに用があってきたのよ。」
不自然な咳払いの後、先ほどのことを無かったことにするように話を切り出した。
おいおい唐突になんだ?。俺は知らない人に頼み事をされるほど人相の良い人間なのか?
「私の名前はヒリア・アイ・ヴァイス。貴族、ヴァイス家の末子よ。」
「はいはい、お遊びはよそでやってくれ。」
そう言いながら扉を閉めた。
「ちょっ!!あんた信じてないわね!?ホントなんだからぁ!」
扉の向こうから彼女のギャーギャー叫ぶ声が聞こえる。そして再び始まったインターホンの嵐。
両耳を塞いで玄関に座り込んだ。あと一分続いたら警察呼ぼう。
と思った矢先、玄関には静寂が訪れた。諦めて帰ったのだろうか。そうあることを切に願う。
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