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「いいわ、あなたが断るなら私もそれなりの処置をとらせてもらうわ。」
そう言い残して去っていく足音が聞こえた。ひとまず胸を撫で下ろす。
結局なんだったんだ彼女は。突然押し掛けてきて、用件も言わず最後は脅しか。
詐欺の類い?やはり最近の若者は怖い。
モヤモヤした気持ちを心に残しつつ一日は過ぎていった。
それから俺は中学を卒業した。あとは蒼斗第一高校といった普通の進学校の入学式を待つだけだ。
が、胸踊る未来への期待はその日をもって崩れさった。そうあの不幸の手紙が届くまで…。
「颯呀ー!!高校から手紙がきてるわよー!」
一階から叫ぶ母さんの声が、二階の自室にいる俺の耳に届いた。
高校から手紙が?そんなこと入学説明会の時には言ってなかったはずだが。
首を傾げつつ階段を降りた。リビングに入ると母さんが昼食の準備をしている。
「そこ。机の上に置いといたから。」
母さんの指差す先にそれはあった。蒼斗第一高校から俺宛の手紙だ。
封筒を丁寧に破り、中身を取り出す。
「えーと、
白神颯呀様
貴方の本校への入学の資格は抹消されました。誠に申し訳ありませんがご了承ください。
……はぁ?」
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