七波遥斗の場合

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「何の仕事するの?」 「外資系の金融会社」 「外資系!すごっ!」 「別にすごくねぇだろ。俺は6年もアメリカにいたんだし、向こうで働いてた会社の日本支社だしな」 春舞はやっぱり凄い。 僕の春舞は、やっぱり格好良いっ! ニヤニヤが止まらない僕を怪訝そうな顔で見つめる春舞。 「てか、ハルいつまでくっついてんだよ。離れろ」 「嫌だ。もうちょっと……」 「それから、デカイ図体して女々しく泣くな」 「ひ、酷いっ」 デカイ図体って……たしかに春舞より大きくなっちゃったけど、でも…… と、考え始めたところで、まどか先輩の言葉を思い出す。 「ね、春舞。はなしたいことがあるんだけど」 「……あとでな」 「今がいい。今すぐ話したい」 ぎゅうっとしがみついたまま、必死に訴えた。 「俺着替えたいし、ハルも着替えろよ」 「でもっ……!」 「でも。じゃぇよ、離せ」 「嫌だっ!今話がしたい!」 「俺はしたくない」 そんな、冷たく言われたら心が折れそうになる。 「僕たちにとって、大事なことなんだよ」 「……わかってるよ」 「じゃあっ!」 「っ、わかってても、受け入れられないことだってあるんだよっ!」 「春舞……」 腰に巻き付く腕をはずすと、春舞は一歩後ろに下がり距離をおく。
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