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「七波、七波っ!」
あぁ、僕を呼ぶ声がする……
「なぁっ なぁっ みっ !」
ぼんやり振り向くと、顔を真っ赤にしたリーダーが、今にもPCをぶん投げそうな勢いで立っていた。
「わぁっ!す、すみませんっ!はいっ、なんでしょうかっ!」
慌ててリーダーのデスクへ駆け寄ると、ゴチンっとげんこつされた。
ーー 痛い……
「お前、何度も何度も呼んでるのに無視しやがって」
「すみません。全く聞こえませんでした」
「んなっ!なんだとっ!」
「す、すみませんっ!」
慌てて頭をさげると、もう一度げんこつが飛んできた。
「今日は、まったく仕事に集中してないだろ」
「そんなことは……要件定義書も作正してリーダーに提出しましたよ」
「その要件定義書、全部間違ってる」
突きつけられた要件定義書を確認すると、確かに間違いだらけだった。
「申し訳ありませんでした」
深く頭を下げる。
仕事でこんなミスをしたのは始めてた。
「だから、お前っ「はい、ストップ」
と、明るい声がリーダーを制する。
「リーダー、七波の件は私に任せてください。ほら、行くわよっ」
リーダーの制止もきかず、僕の腕をぐいぐい引っ張っていくまどか先輩。
引きずられ、連れて行かれた先は、いつものラウンジだった。
無理やり椅子に座らされた。
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