42人が本棚に入れています
本棚に追加
春舞が行きそうな場所ってどこ?!
そういえば、会社の名前も聞いてなかった……
この近辺で、大手の外資系の金融会社に片っ端から電話をかけたが、やはり教えてはくれなかった。
もしかしたら、家に戻っているかもと、自宅へ戻ったが春舞が帰ってきた形跡はない。
ーー どこに行っちゃったんだよ、春舞っ
走りまわって、着いたのは空が見えないくらいに桜が乱れ咲く公園。
6年前の桜が咲く季節に、僕たちは再会の約束をして別れた。
6年間、待って待って待ち続けて……
僕たちの間にある6年は、ずっと止まったままだ。
時間だけが流れて、僕たちの想いはあの時のまま。止まったまま。
ねぇ春舞。
6年振りにあう君は、僕の予想とは違っていた春舞だったけど、そんなの関係ない。
この想が変わることはないんだ。
「好きだよ・‥・‥春舞」
一際強い風がふいて、舞って舞って散る桜。
「ハル?」
聴き馴染んだ声が耳に届いて、ゆっくり振り向くと、そこには春舞がいて……
それから、春舞の隣には僕の知らない男が立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!