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深い深い眠りから目が覚めたとき、すぐ傍に暖かい温もりがあった。
ーー 春舞……
僕の手を握ったまま、ベッドの脇に座り込んで眠る春舞。
握られた手が暖かくて、泣きたくなる。
昨日から泣きっぱなしの僕のまぶたは重たくて、だるかった。
「んっ……ハル?」
起きた春舞に驚いて、握られていた手を咄嗟に振り切る。
「……ハル」
春舞が傷ついたような顔をするから、僕の胸はぎゅっと痛くなる。
「ごめん。ハル」
春舞は何を謝っているのだろう
あの男とのことなのか……
「俺がハルを傷つけた。見た目にずっとこだわっていたのは俺だけで……ハルの話も聞かないで、飛び出して……誤解までさせて傷つけた」
離した手を再び握られて、春舞は懺悔をするようにぽつりぽつりと話す。
「なぁ、6年前の俺は、ハルにはどんな風にうつってた?」
「……いつも格好よくて僕を守ってくれて、強くて……ヒーローだったよ」
それを聞いた春舞は眉をさげて悲しそうに笑った。
「じゃあ、今は?」
ーー 今は……
「変わらないよ。昔と全然変わらない。僕にとっての春舞は何も変わらない」
「ハルはそう言ってくれると思った」
「春舞……」
だったら、なぜ?と聞きたくなってしまう。
僕の気持ちを分かっているなら、どうして春舞は今も苦しそうな顔をしているのだろう。
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