42人が本棚に入れています
本棚に追加
「なぁ、あんた名前は?」
黒い瞳に強く見つめられる。
「僕は、七波遥斗(ナナミハルト)」
「は、ハルっ?!」
あんぐり口をあけて、驚きに満ちた顔が呼んだのは、懐かしい呼び名。
それは、春舞が僕を呼ぶときに呼んでいた……
「えっ!?春舞っ?!」
お互いに立ち上がり、頭のてっぺんからつま先まで、じっくり確かめ合う。
「本当に春舞なの?」
「本当に遥斗なのか?」
ーー 嘘だっ!
僕の春舞は、背が高くて、大きくて、顔なんかめちゃくちゃ格好良くて!
なのに、目の前にいる春舞と名乗る男は……なんだかちんまりしている。
6年後、僕の元に帰ってくる遥斗はこんな姿じゃない……
「本当に春舞なの?」
「いや、それはこっちが聞きたい。お前本当にハルかよ?」
「僕は正真正銘、七波遥斗だっ」
財布から免許証をだして、目の前につきつける。
「……本当に、ハル……なんだな」
「そっちもちゃんと証明するもの見せてっ」
「……ほらよ」
パスポートに書かれていたのは、間違いなく「桜木春舞」の名。
正真証明、春舞だ……
お互いにじっと見つめ合って、俯く。
誰か嘘だと言ってください……これは現実なんかなじゃいって……
だって、よくある話では、海外にいった幼馴染が帰ってきたらすっごく格好良くなって恋に落ちちゃうとか!
そうゆう話でしょっ!?
なんで、どうして僕の幼馴染は小さくなってしまったんだっ!
最初のコメントを投稿しよう!