七波遥斗の場合

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今日は仕事に行く気がしない。 昨日、6年振りにあった僕の恋人は、想像していた姿と全然違っていた。 それは、多分お互いにそうだったんだろう。 春舞は僕を遥斗だと分かっていなかったし、きっと春舞の中で僕はまだ小さいままで…… お互いがお互いに想像していた姿で再会できなかったということ。 リビングを出て、自分の寝室の隣の部屋。 今は春舞が使う寝室をのぞき、ベッドに眠る春舞を眺めた。 日本に家を用意していなかった春舞は、しばらく僕の家で暮らすことになったのだ。 「春舞」と呼ぶと、もぞもぞと塊が動いて、もう一度呼ぶと、黒い頭がひょっこり現れた。 「ん……朝?」 「うん。おはよう」 「はよっ……」 眠そうに目をこする春舞。 じーっとその顔を見つめて、やっぱり春舞なのだと認識する。 あの時、6年前に空港で別れたときと変わらない春舞の顔。 僕が空港で春舞と分からなかったのは、勝手に6年後の春舞の姿を妄想して、それにとらわれていたからだ。 僕の妄想とあまりにも姿がかけはなれていたもんだから……そして、自分自身が6年前のあの頃より大きくなってしまったことに気付いていなかったから…… 春舞に言われた。 『ハル、何でお前がそんなに大きく成長してんだよっ!ばかっ!』と…… 僕だって、好きで大きくなったわけじゃないのに、酷い。
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