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「腹へった……」
「ご飯つくっておいたよ」
「ん。なぁ、お前仕事は?なにやってんの?」
「システムエンジニア」
「ふぅん……行かなくていいのか?」
「フレックス制だからね。大丈夫」
春舞は、もぞもぞとベッドからはいだしキッチンへ向かう。
僕はその後ろをついていったのだが……
「ハル、お前かがんで歩け」
「えっ!?そんな無茶なっ!」
「じゃあ、俺の近くを歩くな」
ギロっと睨まれて竦んでしまう。
春舞が冷たい……
6年振りの再会だっていうのに、僕は春舞との甘い生活を夢見ていたのにっ!
「春舞……」
ぎゅっと抱きつくと、殴られた!
「痛い!」
「抱きつき禁止っ!」
「なんで?!」
「なんでもだっ!」
スキンシップも禁止だなんて……酷すぎるっ!
「春舞ぁっ」
「……甘えた声もだすな」
「ええっ?!なんだよ、春舞のいじわるっ!」
睨んでみたが、春舞は意に介するわけでもなくただ黙々と朝食を食べる。
6年振りに会えて嬉しいと思っているのは僕だけなの?
ーー まさか、アメリカで良い人見つけて……だから、それで……
考えたたけで、涙がでてきた。
ダイニングテーブルの下に蹲る僕の頭に置かれた暖かい、手。
「春舞?」
「泣くな。俺はとまどってんだよ、久しぶりに会うお前が昔と全然違ってて」
「それは、僕もだけど、春舞は春舞でしょ?僕は僕だよ」
「わかってるよ。だけど、色々ついていけないんだよ」
傷ついたように笑う春舞に、僕の胸はぎゅっと痛くなる。
6年の歳月は……僕たちの何を変えてしまったのだろう。
「僕は何も変わってないよ?」
「何も……だと?!」
ギロっと睨まれた!
「どこが何も変わってないだっ!変わりまくりだろうがっ!」
「そんなことないっ!」
「昔のハルは、小さくて華奢で、肌なんかすんげー白くて、目なんかくりっくりで可愛くてっ!なのに、何でこんなにもデカくなってんだよ!」
そ、それは僕が知りたいよっ!
まさか、春舞より大きくなるなんて思ってなかったしっ!
春舞がこんなに、小さくなってしまうなんて思ってなかったしっ!
……あれ?人は小さくはならないから、やっぱり僕が大きくなっちゃったんだ。
こんな予定じゃなかったのに……
そう、こんな予定じゃなかったんだ。
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