42人が本棚に入れています
本棚に追加
6年前のあの日以降、急激に成長した僕。
160cmほどしかなかった身長は今では182cm。
体格はそんなにいいほうではないけど、少なくとも華奢ではなくなった。
元々薄い色素のない髪と瞳のおかけで、今では度々外国人に間違われる事がある。
絶対、こんな予定じゃなかったのにっ!
恨めしそうに僕を睨む春舞は、6年前のあの頃とほとんど変わっていないように思う。
僕とは対照的に真っ黒な瞳と髪。
決して可愛い顔立ちではなく、うん。格好いい。
170cmと少しの身長は、昔はあんなに大きいと思っていたのに、小さく見える不思議。
いや、実際僕が大きくなってしまっただけなんだけど……
「春舞ぁ、やっぱりこんなの嫌だよ」
と、泣きついて抱きつくと、ぐいっと押し返された。
「そのデカイ図体で甘えた声だすな。抱きついてくるな」
「そんな……昔はたくさんスキンシップしてたじゃないっ」
「昔と今じゃ違うんだよ」
何が違うの?
僕が大きくなってしまったこと?
春舞が小さくなってしまったこと?
僕にはわからない。
何が変わってしまったの?
「春舞……わかんないよ」
「ハル、俺は……」
春舞が、言い掛けたとき、ちょうど仕事用の携帯がなった。
システムトラブルが発生しているらしい。
会社いかないと……
「ごめん。春舞。なんだった?」
「いや、別に……なんでもねぇよ」
「でも、何か」
「いいから。さっさと仕事いけ」
もう話すことはない。と言わんばかりに一言も喋らず、黙々と朝食を食べる春舞。
僕は仕方なく、会社へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!