七波遥斗の場合

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「おはようございます」 「おはよう。って、どうしたの?その顔」 フロアに入ると、僕の顔色をみて、素早く駆け寄ってきてくれたのは、二つ上の先輩。 三島まどか先輩。 漆黒の長い髪はいつ見ても手入れがいきとどいていて、綺麗だ。 意志の強うそうな大きな瞳も真っ黒で、少しだけ春舞に似ている。 「僕、そんなひどい顔してます?」 「イケメンが、台無しよ?」 「イケメンじゃなくて、可愛くなりたかった」 「あらあら?6年振りに再会した彼氏となにかあったのかしら?」 僕に彼氏がいることを知っているまどか先輩は、よき相談相手。 「ラウンジいく?」 「はい……」 僕たちは、PC片手にラウンジへ向かった。 「それで?何があったのかしら?」 カタカタとキーボードを叩きながら聞いてくる。 「それが……6年振りに再会した春舞は、なんてゆうか、違ってたんです」 「違ってた?」 「うん。6年前に別れたときの春舞はあんなに格好良くて、僕のヒーローだったのに……6年振りに会ってみたら、小さくなってた」 「小さく?それは、七海が成長して大きくなったってことでしょう?」 「そうなんだけど……」 まどか先輩は、PCから目を離し僕の顔をじっと見つめる。 「な、なんですか?」 「七海は、大きくなりたくなかったのね」 「はい。そうすれば、きっと今でも……」 そう。きっと、今でも6年前のあの頃と変わらないでいられたんだ。
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