第23話 覚醒の光

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「に、逃げようシロ! こいつヤバイよ!」 「う、うん! 殺される!」 「大丈夫か梓! こいつはヤバイ……次元が違い過ぎる。一旦退くぞッ!」 「ッ、わかったわ。確かに、異常ねアレは……何なの? あの力はいったい」 しかし、用意された玩具は、オレの期待を大きく裏切った。 「おい……なんだよ……なんで逃げんだよ……」 オレを畏怖の眼差しで見つめ、恐れるようにオレから逃げていく子供たち。 「クソっ……!! あぁクソッ!! つまらねぇッ!!!」 ハデスだけじゃあ物足りなく退屈してたってのに、期待してたコイツらもちっとも楽しくなかった。 ハデスよりはマシだったが、如何せん弱過ぎた。オレに敵わないと判断すると、五人のうち四人の子供は、恐怖に怯えるようにオレを見つめていたのを、オレは今でも覚えている。 所詮あいつらもハデスと同じで、戦ってもオレを満たしてくれない雑魚に過ぎないとオレは思った。──だが、それは"違った"。五人の中に、"一人だけ"いたのだ。オレを、少しは楽しませてくれるヤツが。 「…………」 そいつは女だった。黒く長いつやつやとした綺麗な黒髪。オレと同じような真っ白な肌。そしてくりっとした大きな瞳。 あどけなさはあるが、整った顔立ちをしたその女からは、あまり生気を感じられなかった。いや、活力を感じなかった。ただそこに存在するだけで、"空っぽ"という言葉がその女にはとても似合いそうだった。 もちろんコイツもアイツらと同じで、退屈しのぎにもならないカスだろうとあまり期待はしなかったが、この女だけは、"いい意味で"オレの期待を裏切ってくれた。 ──オレは、すべてを無に還す。どんな力だろうと。だから、どいつもこいつも脆く、すぐに壊れる。崩れ落ちる。
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