~序章~取り立てて特筆する事などない自分

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そして学校に着けば、昇降口で靴を履き替え、自分のクラスへと向かい、ただただ教師の走らせるチョークの文字をノートへと板書する作業へと取り掛かる。退屈だ。それがしばらく続いて、ようやく昼休みが訪れる。 昼食の惣菜パンを買うため購買に行く道すがら、たまたま人気のないところを歩いていると、オレは偶然にも不良生徒たちに絡まれる一人の不幸な男子生徒を見つけてしまう。生憎ウチの学校、こういう輩がまだいるから厄介なんだよなぁ……。 不良たちは眼鏡をかけた、いかにもひ弱そうな男子生徒からカツアゲをして、さらには―― (ちょ、マジかよ……) 男子生徒の腹を殴り、立て続けに膝も叩き込む。 くそ、こういうのは困る……さすがに暴行シーンを目撃してしまうと、『なんとかしなきゃ』とは思う。けれど、まず勇気が出ない。それに、自らあんな不良たちに関わりに行くだなんて、オレには絶対出来っこない。無理な話だ。 だから、絡まれてる不幸な男子生徒には申し訳ないが、ここは見なかった事にさせてもらおう。見て見ぬフリだ。面倒事に自ら首を突っ込むだなんてありえない。……もちろん罪悪感でいっぱいだけど。 こういうのはホント困る。あとで『何か自分に出来る事があったんじゃないか』と、ちょっと自分を責めたくなるから。
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