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「いつもそう。あいつが襲ってくる度にこっちはいつも重症……その度に何度も死にかけたわ。だから、ゼロとやり合うなんて、ハデスと戦うよりさらに"命懸け"な事なのよ」
なるほどな……命の危険があるから、シロとクロはゼロに追われてあんなにも怯えてたってわけか。それに、さっき裕がピンチだった時も、梓は血相変えて飛び込んでいった。それは、そんな理由があったからだったのか。
(けど、ゼロと戦うのがハデスより命懸けって……どんな存在だよいったい。もうチートじゃねーかよそれ)
「じゃ、じゃあ、オレたちはこのまま、ただあいつに好き放題にやられ──」
「あぁそうだ。それがイヤなら、必死に抵抗しな」
瞬間、突如頭上から声が。その声に驚いてオレたちは慌てて顔を上げる。
「おいおい、今は戦いの最中だぜ? なのに、いつまでくっちゃっべってるつもりだ? アァン!?」
「くっ、全員避けろッ!!」
気付けばいつの間にかゼロはオレたちの真上に立っていた。口角を吊り上げながらオレたちを見下ろすと、律儀にも声をかけてから攻撃を仕掛けてくる。
もちろんそのおかげで、裕の声を合図にオレたちは咄嗟に三方向へとダッシュし、ゼロの攻撃から逃れることが出来た。しかし、今の攻撃は今までとはまた違った攻撃だった。
ゼロは右手にバランスボール程の大きな黒い球体を作り上げると、それを頭上から勢いよく投げつけてきたのだ。(多分魔導力で作り上げたんだろう)
そしてその黒球はオレたちにぶつかる事なく地面に直撃し、深々と地面にクレーターを形成する。
「まったく、相変わらずなんてデタラメな力なのかしら……」
「まったくだぜ……とにかく、オレが先行するから、尋兎と梓は援護を──」
「ヒャハハハハ! おめぇーはさっさとリタイアしな!」
離れたオレたちに裕は通信機を使って連携攻撃の指示を飛ばすが、そうはさせないとゼロは再び裕に襲いかかる。
「暴れ足りねぇ、暴れ足りねぇッ!! ヒャハハハハハッ!!!」
狂ったように笑いながら、ゼロは黒い手刀で何度も裕に斬りかかる。
速い、なんてスピードだ。腕の振りが速すぎて全然目で追えない!
「ぐっ、このッ!!」
裕は先程受けた傷の痛みを堪えながらなんとか大剣で応戦するが、やはり防戦一方。
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