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「ぐ、このッ……!」
「ヒャハハハ! これで終わりだァッ!!」
やはりゼロの力には敵わないのか、裕の緑に輝く大剣がゼロの手刀によって粉々に破壊される。そして裕に隙が生まれ、ゼロは当たり前にそこを突く。
「させないわッ!!」
が、それをやらせるほど甘くはない。梓がすぐさま動きを見せる。
「多段装甲──漆式ッ(ななしき)!!」
梓は離れた位置から両手を正面にかざすと、前に模擬戦で一度見せたあの小さな薄紫のシールドを無数に展開する。
数にして七つ。一つ一つが裕の身体を覆うように正面に展開され、七つがまるで一つのシールドのような形となる。
「ハッ! こんな薄っぺらい盾あろうがなかろうが関係ねぇ。オラァッッ!!」
ゼロの強烈な上段からの一振り。たったその一振りで、ゼロは正面にある七つのシールドすべてを蹴散らしてみせる。
「クソ、やっぱあいつにかかればシールドさえ意味なんてないのか!?」
「ッ、なら──!」
オレはギリっと歯を食い縛るが、梓はシールドを壊されても落胆せず、薄紫に光る巨大な鎌を作り上げるとすぐさまゼロへと向かっていく。盾がダメなら直接攻撃でいくようだ。
「ハァ、ハァ……よし、なら二人で畳みかけるぞ梓ッ! 尋兎はいけると思ったらとにかく魔導弾ぶち込めッ!!」
「わかったわ!」
「わ、わかったッ!」
裕の指示で、梓は裕と一緒になって持てる技を駆使し二人がかりでゼロに立ち向かい、オレはそのサポートに立ち回る。
「くらいなさいッ──!!」
「うおおおりゃあああーーッ!!!」
裕と梓の怒涛の連続攻撃。二人はすでに疲弊してるにも関わらず、見事な連携を披露する。
「ハッ!! ぬるいぬるいぬるいぬるいッ!!」
挟撃、タイムラグでの時間差攻撃。とにかく息ピッタリな連携のはずなのに、それでもゼロに攻撃がまったく通らない。
「そんな……武器の扱いならあの二人だって飛び抜けてすごいんだぞ? なのに、ぜんぜん通用しないだなんて……」
二人だって戦闘技術は凄い。それでもゼロには敵わない……その現実が今、目の前にある。
二人はフェイントを交え目まぐるしく動き回り隙を突いているはずなのに、ゼロはそのさらに上をいく洞察力で二人を捉え、攻撃のすべてを捌いているのだ。
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