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「なら、"これなら"どうかしら!?
多段装甲──"捌式"(はちしき)ッ!!」
すると梓は、一旦具現化を解くと、再びバッ、と両手を前に突き出し、ゼロの周りを取り囲むように八個の小さなシールドを展開させる。
「アァ? また同じ手か雷帝? お前も芸がねぇー奴だな」
梓が展開したシールドに周囲を取り囲まれたゼロは、その場で立ち止まり嘆息する。
「ふん、言ってなさいゼロ。"最大出力"でお見舞いしてあげるわ」
しかし、梓は真剣な表情のまま、右腕を振り上げ、掛け声と共にそのまま勢いよく振り下ろした。
「避けなかったことを後悔しなさい──"招雷"ッ!!」
すると、ゼロを取り巻く八個のシールドから、まるで稲妻のような薄紫の無数の閃光がピカッと光りながら、その場から動こうとしないゼロに容赦なく襲いかかる。
「……くっ、やっぱり効かないのね……」
けれど、梓にしか出来ない渾身の技でも、ゼロには通用せず。今のも確か、前に模擬戦で使った技だ。雷のようたが、実は梓の魔導力での攻撃なんだあれは。
しかし、それでもゼロは無傷。ゼロは今の攻撃をなんと、足下から噴き出る黒い魔導力を一瞬で全身に包ませ、それで防いでみせたのだ。
「……ふぅ、効かねぇのは当然だ。まぁでも、今のお前も疲弊してっから、今度きちんと全力のやつをくらわせてみろよ。まっ、もちろんそれでも、オレには効かな──」
「喋ってる暇あったら舌噛むぞッ!!」
「んだァ?」
攻撃のリズムを乱さないと、今度はオレが遠距離から仕掛ける。
ゼロが余裕綽々で饒舌に語ってるところを狙い、オレは遠距離から二丁拳銃で容赦なく魔導弾を叩き込む。
「ハァ、ハァ、どうだ……えっ!?」
「フン、目障りな攻撃だ。オレはそういう遠距離からのこざかしい攻撃が一番嫌いなんだよ」
「そんな……片手で防いだのか!?」
確かに魔導弾はゼロに命中したはず。が、ゼロはなんと当たる直前に魔導力をまとった掌を振り払うようにして、オレの魔導弾を弾いてみせたのだ。
オレもほぼ魔導力が残ってないとは言え、そんな簡単な動作でオレの攻撃を防ぐのかよちくしょう……!
(でも、何だ今のは……あいつの掌に触れた魔導弾が、まるで"溶かされた"ような……)
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