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簡単にあしらわれた事に悔しさが込み上げるが、今のワンシーンがどうにも引っ掛かり、オレは心の中で疑問を呟く。
あいつが触れた魔導弾は、弾かれたと言うより、霧みたくふわっと霧散したような……。
「ボサっとすんな尋兎! 突っ立ってたらやられるぞ!」
「あっ……わ、わりぃ!」
しかし裕の鋭い声に、オレは無理矢理思考を中断させられる。そうだ。気にしてないで、今はとにかくあいつをなんとかしないと。
尚も裕と梓は果敢に攻め入るが、さすがに疲労も魔導力も限界なのか、動きがだいぶ鈍くなってきてるのが遠くからでも見て取れる。
「…………ハァ、つまらねぇ」
すると、攻撃を捌いていたゼロが、無表情でぽつりと何かを呟いた。
「つまらねぇつまらねぇつまらねぇつまらねぇ……つまらねぇーんだよォォォォッ!!!」
「くっ!?」
「きゃっ!?」
二人が再び挟撃を試みたところで、ゼロは突然辺りに強大な魔導力を足下から噴出させながら咆哮する。その力の放流に裕と梓は怯みつつ後退。
「もうダメだ……やっぱつまらねぇ。疲弊したヤツ相手にしてもちっとも楽しくねぇ……だからもうお前ら二人とも、仲良くおねん寝してな──!!」
ゼロが一気に駆け出す。表情は先程とは異なり、さっきまではどこか愉しさも伺えたが、今はそれも鳴りを潜め、ただただつまらなさに苛立ちを露にしている。
「まずは雷帝、てめぇからだ!! くたばれッ!!」
一瞬にして梓との距離を詰めると、ゼロは怒りのままに梓に向かって真っ黒の手刀を振り下ろした。
「ぐふっ……!! カハッ……」
「……アァ?」
しかし、ゼロは意中の相手を仕留め損ねる。
なんと、今度は裕が梓の前にギリギリ滑り混み、身体を張って梓を守ったのだ。
裕は両手を突き出しシールドを展開させたが、それも虚しくゼロの手刀はシールドごと裕の身体を斬りつけ、裕の身体からは真っ赤な血が盛大に飛び散る。
「ッ……あず、さ……」
「ちょっ、裕! どうして……!」
「わりぃ……最後まで守れなく、て……」
「あっ……」
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