◆ふみづたい

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   彼女は目立つというタイプではなかったが、図書委員にいそうな小柄でおかっぱの、子供っぽいかわいらしさがある女の子。   鈴村も目立つというタイプではなく、また飛び抜けてかっこいいとまでは言えないけれど、そこそこのルックスはある。   ただし、メガネ男子で文学少年の、制服のワイシャツが似合う和木には、残念ながら負けを認めざるを得ないのだった。    結論。     鈴村「たのむ、和木! これ、オレにくれ!」      鈴村は相当に安易な考えで、その本を、もしくは彼女と話すきっかけをゆずってもらおうとした。   クラスメートでありながら、一学期もすでに終わろうとしているのに、気になる女子との接点が一つもなかったのだ。   そしてやっと見つけた接点が、“これ”だったのだから。     和木「おいおい、それは今、読んでる最中だ」     鈴村「そこを何とか……!」     和木「それに、これ4巻だぜ? 1巻から読まなきゃ、話分からねぇぞ」     鈴村「な……なにぃっ!?」            『ミミとマジョ』。   それがその本のタイトルだった。   最近発売された小説で、学校の図書室にあるわけもなく。   ゆえに、鈴村は友達からめぐんでもらうことをあきらめ、さっそくその日の学校帰りに近くの本屋へ駆けこんだのである。  
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