1.最後の約束

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紗那は質問に答えながら、タロウの後ろ姿を眺める。 手を引きながらも紗那の歩幅に合わせて歩いていた。 ジロウに関する質問責めに全然嫌な気がしないのは何故だろう。 ヘンな男。と、思う。 「サナは、痛くない?」 「え?…ん?」 今までジロウは~?の質問だったのがいきなり自分の質問にかわり、少し戸惑う。 見上げると、タロウは自分の胸をこぶしで2回、トントン叩いた。 「ここ。痛くない?」 ああ、ジロウのことで、か。 「痛くないよ、全然。むしろあったかい。」 「あったかい、か。じゃあ、よかった。」 ふと微笑むタロウ。 気付くともうすぐアパートというところだった。 「ここでいいよ、ありがとう。」 「ん、じゃあね。ちゃんと宿題して歯磨きして寝ろよ。」 「なにそれ。」 紗那は繋いでいた手を離し、その手をヒラヒラさせて歩き出した。 「ばいばい。」 ヘンな男。 アパートに向かって歩き出してすぐ、背中で声がした。 「サナ!!サナってどういう字!?」
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