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「…。」
振り返ると大声で叫んでいるスーツのイケメン。
なにあれ。
ふと笑みが漏れた紗那も負けずに大声で叫ぶ。
「絹の"紗"に、刹那の"那"!」
「いい名前だね!」
「ありがとう!」
紗那はそう叫ぶと、またアパートに向かって足を向けた。
「紗那。」
背中に優しい声が降った。
ゆっくりと、もう一度振り返る。
「おやすみ。」
タロウはふわりと笑って手を降った。
「おやすみなさい。」
紗那もゆっくりと片手を上げた。
はじめてあの人の話をした他人だった。
ヘンな男。
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