2.幸せとの矛盾

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グラスの氷がからん、と音をたてた。 「宗からもらった指輪捨てたんだな。」 真中は自分の手元を見つめながら小さく言った。 「うん。やっと約束守れた。」 悲しそうに微笑む紗那を見て、真中は複雑な思いを感じた。 紗那は、おそらくまだ完全には一人で歩き始めてはいない。 だが必死に立ち上がろうとしている紗那を見守ってやるのが、俺のすべき事。 それしかできない俺の役目。 「5年は…長いな。」 なんとなく思った事が口から滑り出した。 紗那は真中を見つめたまま頷いた。 「長かったね。」 紗那が自分で立ち上がる勇気を得るまでの時間だった。 .
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