1.最後の約束

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翌日の空は、キリリと凍てつく寒さに雪をキラキラと輝かせていた。 街灯に光る雪をぼんやりと見つめながら、紗那は昨夜と同じ道をたどる。 代わり映えのない帰宅路。 今日はコンビニに用はない。 眩しすぎる明かりが通りすぎるところだった。 「指輪をゴミ箱に捨てる女はじめて見た。」 紗那はいきなり思い当たるフシから振り返った。 「だれ?」 見ず知らずの男にそう話しかけられ、まあ当然怪訝な顔つきになる。 「昨日ここに指輪捨てたでしょ?」 何だか楽しそうに笑うその男は質問には答えず、紗那の行く手を遮る。 「それがどうしたの?」 多少面倒に感じながら目の前の男を見上げる。 身長160㎝ある紗那は自分でも小さくはないと思っているが、この男は見上げる程大きい。 おそらく180㎝近くあるだろうか。 スーツ姿が仕事帰りを思わせる。 栗色の柔らかそうな髪の毛がふわりと目の上で揺れている。 世の女子はこういう男を"イケメン"と呼ぶのかもしれない。 「変な女だと思ったから声かけてみた。」 相変わらず楽しそうにそう言った。 あまりかかわりたくない種類の人間だと判断し、再び歩き出そうと身を返す。 「サナ。」 突然名前を呼ばれる。
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