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「あの指輪をくれた男。」
緩く笑顔を作ったタロウ。
「…。ジロウ。」
紗那は窓の外を見ながら答えた。
タロウは紗那の手を引き歩き出す。
前を向いたままタロウは紗那に問いかけた。
「ジロウのこと、愛してた?」
顔は見えなかったけれど、それはとても優しい音をしていた。
だから紗那はとても暖かいものに包まれた感じがした。
「うん。世界でいちばん。」
図書館を出てからも、タロウは紗那のアパート近くまで手を引いて歩いた。
「ジロウの身長は?」
「170ちょっと。」
「イケメン?」
「かなり。」
「ジロウの好きな食べ物は?」
「スイカ。」
「ジロウの口ぐせは?」
「お前は俺の嫁になる女だ。」
「はじめてのデートは?」
「動物園。」
「ジロウの好きだったところは?」
「ぜんぶ。」
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