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翌日は、青が目に染みる、抜けるような快晴だった。
儀式を終えたあなたは、親しい人達に見送られ、重い鉄の扉の向こうに消えて行く。
扉が閉まり、そして。
あなたは身体を捨てて、煙になる。
煙が青空に拡散し、見えなくなっていくその境界を、私はずっと眺めていた。
なぜだろう。
胸に去来するのは、不思議と哀しみではなかった。
自由を手に入れたあなたは、どこへ行く?
その答えを、私は知っている気がしたから。
あなたはずっと、ここにいる。
もうどこにも行かない。苦しむこともない。
触れることはできないけれど、ここにいる。
私の深いところに、永遠に。
真っ青な空をまるごと抱きしめるように、私は大きく両手を広げて、深く息を吸い込んだ。
ほら、なんだか身体の奥がじーんとする。
あなたが私に降りてくる。
私があなたで満たされる。
今初めて、私はあなたを本当に感じているのかもしれない。
直接触れていた昨日までよりも。
ずっと近くに。
ずっと深くに。
ね?
ずっと。
ここにいる。
Fin.
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