scene1 Still

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【あとがき】 のっけからこんな選曲ですみません。 亡くなった恋人を追慕する名曲は数ありますが、たいていはバラードですよね。 この曲は、ちょっと切ないメロディーラインではありますが、ビートの効いたミディアムテンポ。 Tinaさんのソウルフルでグルーヴ感溢れる力強い歌声と相まって、曲だけ聴いていたら、おそらく『愛しい人の死』を歌った曲だとは思えないでしょう。 曲を聴く時私は、メロディーラインや全体の雰囲気を優先して楽しむほうで、実はあまり歌詞を気にしていません。 そうやって聞き流すように聴いて、気に入ったら初めて歌詞を見る、って感じで。 だからたいていの場合歌詞は、よっぽど印象的なフレーズの記憶くらいしかありません。 この曲もしばらくは『別れてもずっと心にいるひと』くらいの雰囲気で捉えていました。 ところがある時、ふっ、と耳に入ってきた歌詞。 『旅立つ、煙になるあなたは♪……』 ……えっ!? 歌詞に驚愕したのは初めてでした。 『死』も『悲しい』も『寂しい』も、歌詞には一言も出て来ない。 感情的な言葉や、思い出話などはまったくなく、ただ淡々と綴られる事実。 それでいて伝わってくる切なさと。 でもどこかで、過去にのみ囚われるネガティブさを吹っ切っている、強さと。 それらが、『どっぷり悲劇のヒロイン』的な泥臭さを、遠いものにしています。 大好きな曲のひとつです。 物語はそういうふうに書きたいと、そう思っています。
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