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「これでよし!っと……」
ユウタはそう言ってユリアのほうを見る。
ユリアは大きな荷物を背負って家の中から出てきた。
「それで全部か?」
「はい、これで最後です」
「それじゃあ急ごう」
ユウタはユリアに右手を差し出しながらそう言った。
「?」
「…………」
差し出された手は握られていた。
「その荷物持つよ」
ユウタの言葉にユリアは少し躊躇いながらも荷物を渡した。
荷車を引きながら避難場所まで衣類を運ぶ。
どうやらユリアが独断で行ったことらしい。
大人しい感じの娘かと思ったが少し違うようだ。
「ここから避難場所まではどれくらいなんだ?」
「半日ほど掛かります」
「それじゃあ今回は2日掛かるかもしれないな」
ユウタの予想にユリアは申し訳なさそうに顔をうつむけた。
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