Game No.1

3/6
前へ
/6ページ
次へ
 しかし奴はその持ち前の頭脳とこの学校の評価方法を持ち合わせ、毎回4から5をとっている。ちなみに5が最高。その方法はいたってシンプル。先生が見ている前で一生懸命やればいいのだ。というのも、この学校は減点方式を採用しており、テストのない体育の授業は完全に担当教師の独断で決めている。  まあ、一応体力テストもあるからそれでどこまで点数を守れるかがキモだ。と奴が語っていた。その時、俺はドン引きしていたのだが。 「さて、遅刻してきた馬鹿は置いといてホームルームを始める」  先生が業務連絡的な話をする中、和志は自分の席である俺の隣に滑るような速さで座った。その訳のわからない動きを少しでも運動に回せよ。 「寝坊しちまったよ」 「見ればわかる」 「ま、まさか僕が昨日の夜に作りかけのプログラムを完成させたことまでお見通しだというのか!?」 「俺何者だよ」  和志とくだらない茶番を繰り広げる。朝の習慣みたいなものだ。 「――からな。後は……、ああそうだ、今日は六限に集会があるから遅れんなよ? 遅れたら腕立て腹筋スクワット二十回五セットさせるから」  以上だ。と教室を出ていった我らが担任、武田修二(たけだしゅうじ)。今年で三十代の未婚者そして体育教師。この学校で三番目ぐらいに人気があるが、人気がある理由が「怒らないから」や「放任主義だから」という生徒中心の意見ばかり。「不真面目」「やる気がない」等の理由で年輩の先生方からは目をつけられている。俺は前者だが。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加