†7.

18/30
前へ
/446ページ
次へ
 左腕上腕部にしっかりと嵌まったセルクル状の金の腕輪…所々焼け焦げた跡のあるその腕輪の下からは…捻れるようにぐるりと、鋭利な物で傷つけられた痕がはみ出し… 腕輪の縁に沿ってできた痛々しい火傷の痕が、その傷の一部に重なっている…。 順作くんが苦虫を潰したような顔をして、脱がせたパーカーを羽織らせた。 「ぁ…?…いえ、大変申し訳…あり…ませ…ん。」 「タマちゃん先輩、香哉先輩みたいな喋り方になってるよ?」 下からタマちゃんの顔を覗き込んで、にこりと笑うアム…。 「コレ見つかると『学校でアクセサリーなんか付けて、お洒落するな!』とか言って怒られるから…ちょっと隠してたんだ。」 そう言って要くんの顔を見ると、要くんは困ったように目を反らした。 「取りたいけど取れないんだよねコレ…。取るなら腕ごと切り落とさないとだめみたいで…。」 手を動かすのにも支障は無く…一番心配なのは、成長に伴って血管や筋肉に悪い影響が出る事なんだけど…。 急激な成長じゃなかったせいもあるらしい(つまりチビのまんまって事)けど、詳しい事はよくわからない…。 お偉い教授が、この金属を削って持ってったけど…。 不思議な事に…このセルクルは、まるでアムの皮膚の一部になったかのようで…悪い影響は出ていない…今のところはね…。 少し焼け焦げたこのセルクルは、完全に腕の一部分になってるんだ…。
/446ページ

最初のコメントを投稿しよう!

453人が本棚に入れています
本棚に追加