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左腕上腕部にしっかりと嵌まったセルクル状の金の腕輪…所々焼け焦げた跡のあるその腕輪の下からは…捻れるようにぐるりと、鋭利な物で傷つけられた痕がはみ出し…
腕輪の縁に沿ってできた痛々しい火傷の痕が、その傷の一部に重なっている…。
順作くんが苦虫を潰したような顔をして、脱がせたパーカーを羽織らせた。
「ぁ…?…いえ、大変申し訳…あり…ませ…ん。」
「タマちゃん先輩、香哉先輩みたいな喋り方になってるよ?」
下からタマちゃんの顔を覗き込んで、にこりと笑うアム…。
「コレ見つかると『学校でアクセサリーなんか付けて、お洒落するな!』とか言って怒られるから…ちょっと隠してたんだ。」
そう言って要くんの顔を見ると、要くんは困ったように目を反らした。
「取りたいけど取れないんだよねコレ…。取るなら腕ごと切り落とさないとだめみたいで…。」
手を動かすのにも支障は無く…一番心配なのは、成長に伴って血管や筋肉に悪い影響が出る事なんだけど…。
急激な成長じゃなかったせいもあるらしい(つまりチビのまんまって事)けど、詳しい事はよくわからない…。
お偉い教授が、この金属を削って持ってったけど…。
不思議な事に…このセルクルは、まるでアムの皮膚の一部になったかのようで…悪い影響は出ていない…今のところはね…。
少し焼け焦げたこのセルクルは、完全に腕の一部分になってるんだ…。
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