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キャー!ワァ!と、ギャラリーから歓声が上がった。
順作くんは、言葉も無くコートのチビ…ゲフン ゲフン…いや、アムを、微動だにせず視線だけで追っている。
「何、アレ!エアウォークって言うんでしょ?」
「なんなの?チビなのに、あのジャンプ力。」
「あ…惜しい…腕の力がイマイチか?」
「いや!だけど、あの俊敏さ…ボールをもう取り返したぜ。」
あ…俺…よそ見してて、可愛い弟の有志を見そびれたわ。
なんなの、そのエアウォークって?
「…あの馬鹿チビ…腕の力が弱いんだから、ジャンプする位置と高さを考えろ…と、伝えろ。」
無表情でコートを見つめながら、シルバーが口を開いた。
「…え?ああ…。
アムーっ!ジャンプする位置!!もう少し前!前!前!
それと、高さ!
………って、あれ以上高くなんて…」
は?飛んだし!あの身長からすると、跳ぶと言うより飛ぶに近い。
試合終了のホイッスルが鳴る直前。ボール…いや、新種の針鼠をゴールの上から放り込み、それにぶら下がった。
ワァと、波のように起こる歓声をよそに…アムは不機嫌な顔で網の底を見て、其処から飛び降りた。
「やっぱりこの網、大穴空いてるし!!捕獲の意味ないじゃん!」
アム…其処はね、穴が空いていていいんだよ…。
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