†7.

25/30
前へ
/446ページ
次へ
 キャー!ワァ!と、ギャラリーから歓声が上がった。 順作くんは、言葉も無くコートのチビ…ゲフン ゲフン…いや、アムを、微動だにせず視線だけで追っている。 「何、アレ!エアウォークって言うんでしょ?」 「なんなの?チビなのに、あのジャンプ力。」 「あ…惜しい…腕の力がイマイチか?」 「いや!だけど、あの俊敏さ…ボールをもう取り返したぜ。」 あ…俺…よそ見してて、可愛い弟の有志を見そびれたわ。 なんなの、そのエアウォークって? 「…あの馬鹿チビ…腕の力が弱いんだから、ジャンプする位置と高さを考えろ…と、伝えろ。」 無表情でコートを見つめながら、シルバーが口を開いた。 「…え?ああ…。 アムーっ!ジャンプする位置!!もう少し前!前!前! それと、高さ! ………って、あれ以上高くなんて…」 は?飛んだし!あの身長からすると、跳ぶと言うより飛ぶに近い。 試合終了のホイッスルが鳴る直前。ボール…いや、新種の針鼠をゴールの上から放り込み、それにぶら下がった。 ワァと、波のように起こる歓声をよそに…アムは不機嫌な顔で網の底を見て、其処から飛び降りた。 「やっぱりこの網、大穴空いてるし!!捕獲の意味ないじゃん!」 アム…其処はね、穴が空いていていいんだよ…。
/446ページ

最初のコメントを投稿しよう!

453人が本棚に入れています
本棚に追加