第一章 "始まりの夏休み"の始まり

2/34
前へ
/40ページ
次へ
ミーン、ミーン 始まった。ダルい夏が。 朝から蝉は大合唱だ。 縁側から見えている深い緑を称える山々は、僕に今日から夏休みであることを教えてくれている。 「あ"~、あちぃ~」 中学2年生 ♂ 榊田広樹(サカキダヒロキ) はい、自己紹介おしまい。 理由:暑いから 暑さは僕から全ての気力を奪っていく。 堪えかねた僕は涼しさを求めて重い腰をあげた。 父は仕事で外国へ行っている。単身赴任ってヤツだ。なんの仕事かは知らない。 母は町内会での夏祭りのためのお団子作りのに出掛けている。 「広樹も行く?」 とか聞かれたけど、とてもじゃないけどおばさ…ご婦人たちの中に入って無事でいられる気がしない。勿論断った。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加