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昨日の晩から今日の昼にかけて降っていた雪は、辺りをすっかり白く染め上げていた。
隠れた空は色を忘れ、モノトーンの分厚い雲を纏っている。
無限にループする夢から覚める夢を見た後、コンクリートに囲まれた部屋を出て、色の薄い街へ歩みを進める。
いつもより少ない繁華街から細い裏路地に抜けると、そこは都会の真ん中とは思えないほどの静寂に包まれていた。
真っ白な道を疎らな街灯が照らし出す道を進み、一際暗くも見える鉄製の階段を一段一段、地下に向かって降りていく。
足跡を残すかの様に響く冷たい音は、誰も居ない闇の中に浮かんでは、消える。
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