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後から共通の友人から聞けば、その日の相手は以前喧嘩に負けたのを恨みに持ったひとりが仲間全員を連れて待ち伏せするという、喧嘩と言うより集団リンチだったらしい。
相手は20人だとも、30人だとも言われているが、…湊はそんな人数が相手だろうが無敗に傷を付ける事はなかったし、本人の怪我も見た目以上には酷くはなかった…。
だけど…
「………」
目を閉じれば、あの日の姿を鮮明に思い出す。
ほっといていいと言う相手の身体を綺麗にしたのも、傷を消毒したのも、「ありがとう」少し困ったような、擽ったいような、そんな笑った顔も。
「………ばかやろう」
耳元にかかる吐息を聞き、背中に感じる体温に意識を向ければ、自分で決めた筈の意思が崩れそうでただ願った。
早く朝になれと、願った。
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